
今回は、自作した1/800スケールの空母「タイコンデロガ」に、同じく自分で製作したF-35C戦闘機を48機、搭載してみました!
元々は冷戦期の典型的な空母であるタイコンデロガ級なので、艦載機としてはF-8クルセイダーやA-6イントルーダー、A-7コルセアIIあたりが本来の時代にマッチする機体のはずです。
そこに最新鋭のステルス多用途戦闘機F-35Cを大量に並べてみると、見た目からして完全にアンバランス極まりないですよね(笑)。

タイコンデロガのどこを改造すればF-35C を搭載できるのか
重量分析:F-35C vs. A-3 スカイウォーリア
タイコンデロガ級(改装後)がかつて運用した中で最も重い機体は、A-3 スカイウォーリア攻撃機でした。
F-35Cを運用可能か判断する上で、この「クジラ(Whale)」との重量比較は避けて通れません。
重量のスペック比較表
| 項目 | F-35C Lightning II | A-3 Skywarrior |
| 空虚重量 | 約 15,700 kg | 約 17,800 kg |
| 最大離陸重量 | 約 31,800 kg | 約 31,750 kg |
| 最大着艦重量 | 約 20,700 kg | 約 22,000 kg |
重量から見る構造への影響
驚くべきことに、最大離陸重量においてF-35CとA-3はほぼ同等です。
A-3はエセックス級で運用できる限界の重さとされており、当時のタイコンデロガの飛行デッキは、この30トン級の機体が叩きつけられる衝撃に耐えるよう補強されていました。
しかし、問題は「密度」と「衝撃」にあります。
- 接地圧の変化
A-3は巨大な主翼を持ち、比較的低速で着艦しますが、F-35Cはより高いアプローチ速度で、かつ翼面積に対して重い重量を支える脚部に荷重が集中します。 - デッキの疲労
重量は同等でも、F-35Cの降着装置がデッキに与える局所的な圧力はA-3を上回る可能性があります。
このため、タイコンデロガの飛行デッキを構成する鋼板(当時はSTS鋼など)をさらに厚くするか、最新の強靭な合金へと張り替える必要があります。

カタパルト・システムの全面刷新
タイコンデロガが装備していたC-11蒸気カタパルトでは、F-35Cを安全に射出することは不可能です。
蒸気から電磁へ(EMALSの導入)
F-35Cは精密な電子機器の塊であり、射出時の加速度(G)の立ち上がりが滑らかである必要があります。
- エネルギー不足
C-11カタパルトはA-3を射出できましたが、F-35Cが要求する「重い機体を短距離で一気に加速させる能力」には余裕がありません。 - EMALS(電磁式射出装置)への換装
蒸気シリンダーを撤去し、ジェラルド・R・フォード級に搭載されているEMALSを導入します。
ただし、エセックス級の狭い船体内に、EMALSを駆動するための巨大な蓄電装置(フライホイールなど)を収めるスペースを確保しなければならず、船体内部の区画割りを大幅に変更する大手術となります。

アレスティング・ギア(着艦制動装置)の強化
着艦時のエネルギー吸収能力も大きな課題です。
Mk.7からAAGへ
タイコンデロガのMk.7 Mod 2/3制動装置では、F-35Cの着艦衝撃と重量を支えきれません。
- エネルギー吸収量
F-35Cは着艦速度が速く、かつ重量があるため、ワイヤーにかかるテンションが極めて高くなります。 - AAG(先進型着艦制動装置)の導入
電気モーターによる制御が可能なAAGへの換装が必須です。
これにより、機体への負担を軽減しつつ、確実に停止させることが可能になります。
また、エセックス級の狭いデッキ幅では、ワイヤーの展張範囲も制限されるため、より高精度な制御が求められます。

単発エンジンが生み出す巨大な推力
F-35Cに搭載されているF135エンジンは、戦闘機用としては世界最大級の推力を誇ります。
- F-35C (F135)
1基で最大約19トン(43,000 lbs級)の推力。 - F/A-18E/F (F414)
2基合計で最大約20トン(1基あたり22,000 lbs級)。
総推力は近いですが、F-35Cはそれを1カ所のノズルから集中して排出します。
そのため、排気ガスのエネルギー密度が極めて高く、ノズル直後の熱分布が非常に濃厚になります。
バイパス比と排気温度
F135は最新の低バイパス比ターボファンエンジンですが、高い推力を得るために燃焼温度を非常に高く設定しています。
タービン入口温度の上昇はエンジンの宿命ですが、F-35Cはこの熱エネルギーを効率よく推進力に変える設計のため、排気ガスの温度も必然的に高くなります。
デッキ(甲板)への影響
空母での運用において、F-35Cの排気熱は特に注目されました。
- 集中する熱
F/A-18は2基のエンジンが離れているため熱が分散されますが、F-35Cは中心の一点から猛烈な熱を吹き付けます。 - 耐熱コーティング
米海軍はF-35Cを運用するために、空母の飛行甲板に、より耐熱性の高い特殊なコーティングを施す改修を行っています。
比較のポイント
| 項目 | F-35C (F135) | F/A-18E/F (F414 ×2) |
| エンジン数 | 1基 | 2基 |
| 排気の集中度 | 非常に高い(一点集中) | 分散される |
| 甲板への熱負荷 | 高い(改修が必要なレベル) | 標準的 |
| エンジンの特徴 | 第5世代の超高出力 | 実績のある高バランス型 |

情報通信インフラ(ALIS/ODINとネットワーク)
F-35Cは単なる戦闘機ではなく、「空飛ぶセンサー」です。
診断システム用サーバー室の設置
- ALIS/ODINの収容
F-35の運用には、機体の診断・整備を司る巨大な情報システム「ALIS(現在はODINへ移行中)」が必要不可欠です。
これらを収容するための、高度な空調設備を備えたサーバー専用ルームを艦内に新設する必要があります。 - 高速光ファイバー網
艦橋(アイランド)と格納庫、ブリーフィングルームを繋ぐ高速なデータリンク網を構築し、F-35Cが収集した膨大なデータを処理・共有できるインフラを整備します。

格納庫とエレベーターの改造
F-35Cはその巨体ゆえに、エセックス級のコンパクトな設計を圧迫します。
デッキサイド・エレベーターの拡張
- 面積と耐荷重
F-35Cは主翼を折り畳んでもかなりの横幅があります。
タイコンデロガの右舷および左舷のエレベーターのプラットフォームを拡大し、さらに30トン以上の重量を高速で昇降させられるよう、油圧システム(または電気駆動)を強化する必要があります。

兵装・燃料供給システムの近代化
ステルス機用兵装のハンドリング
- ウェポン・ベイへの装填
F-35Cは兵装を機体内部(ウェポン・ベイ)に収納します。
このため、低い位置からミサイルや爆弾を精密に持ち上げる専用のローダーや、それを格納庫からデッキへ運ぶための弾薬エレベーターの高速化・自動化が必要です。 - JP-5燃料供給の増強
強力なエンジンは膨大な燃料を消費します。
燃料タンクの容量拡大と、急速給油を可能にする配管の更新が求められます。

ステルス維持のための特殊整備施設
F-35Cの最大の武器である「ステルス性」を維持するには、従来の空母にはなかった設備が必要です。
低視認性(LO)修復区画
- コーティングのメンテナンス
ステルス塗料の剥がれや傷を修復するための、温度・湿度を厳密に管理できる特殊なメンテナンス用ブースを格納庫内に設置しなければなりません。
エセックス級の開放的な格納庫(シャッター式)では、塩分を含んだ潮風が入るため、環境遮断能力の向上が必須となります。

結論:21世紀の「タイコンデロガ」
タイコンデロガにF-35Cを載せるための改造は、もはや「改修」の域を超え、船体だけを残した「再構築」に近いものとなります。
重量面ではかつてのA-3 スカイウォーリア運用経験が活かせるものの、F-35Cが要求する**「電力」「熱対策」「情報処理能力」**は、1940年代に設計された艦体にとっては未知の領域です。
しかし、もしこれらの改造が完遂されれば、エセックス級の持つ「100機近い搭載能力(F-35Cなら40〜50機程度に減少するでしょうが)」と、最新のステルス打撃力が融合した、歴史上最もアンバランスで強力な「超弩級近代化空母」が誕生することになります。
空母タイコンデロガ画像集 seaforces-online